【データ】海外で人気の作品と、日本の読者が読みたい作品は違った──夏アニメ34作品のupvoteと当ブログの閲覧数を比べてみた
本記事の見どころ
- 海外で盛り上がった作品と、当ブログの読者によく読まれた作品は一致しなかった。順位の差が最も大きかったのは『BLEACH』(海外3位・当ブログ28位)
- 反対に『令和のダラさん』は海外27位ながら当ブログでは6位。『ヤニねこ』『天幕のジャードゥーガル』も日本の読者のほうが熱心だった
- ジャンルで分けると傾向がはっきりする。ラブコメは海外寄り、内政・ゲーム系の「なろう系」ファンタジーは日本の読者寄り
当ブログは、海外掲示板Redditのアニメ板(r/anime)で盛り上がった感想を日本語に訳して紹介しています。そこには二つの人気の物差しがあります。
一つは、海外の視聴者がスレッドにつけたupvote(高評価)の数です。もう一つは、その記事を当ブログで日本の読者がどれだけ読んだかです。
この二つは、同じ方向を向いていると思われがちです。海外で盛り上がった回ほど記事にする価値があり、読まれるはずだ、という考え方です。ところが夏アニメの3か月分を並べてみると、そうはなっていませんでした。
この記事では、夏アニメ34作品について、海外のupvoteと当ブログでの読まれ方を作品ごとに比べます。先日公開した夏アニメの総括が「海外で何が起きたか」の振り返りだったのに対し、こちらは「海外の盛り上がりと日本の関心がどこでずれたか」を見るものです。
以下のコメントは Reddit / YouTube / X 等のスレッドから引用・翻訳しています。原文の意図を尊重しつつ、日本語として自然になるよう編集しています。
比べ方と、数字の限界
比較に使ったのは次の二つです。
- 海外の順位:各作品について当ブログが記録したupvoteの中央値。1話だけ突出した回に引っ張られないよう、平均ではなく中央値を使いました
- 当ブログの順位:その作品の記事1本あたりの閲覧数(Googleアナリティクスの集計、6月28日〜9月27日)。本文では実数ではなく、34作品の平均を100とした指数で示します
対象は、夏に4本以上の記事を書き、upvoteを2話以上記録できた34作品、記事289本です。
先に限界を書いておきます。
upvoteは記事を書いた時点の値です。スレッドは放送後も数日かけて伸びるので、取得が早かった回は低めに出ます。また当ブログが記事中にupvoteを記録し始めたのは8月下旬なので、多くの作品で後半の話数しか入っていません。
閲覧数のほうも、公開した時間帯や、まとめサイト(アンテナサイト)に載ったかどうかで大きく変わります。当ブログの読者の多くはアンテナサイト経由で来ているため、ネット全体の日本のアニメファンを代表しているわけではありません。
そのため、以下の順位は目安です。ただ、順位の差が10位以上開いた作品については、この程度の揺れでは説明しにくいと考えています。
日本の読者のほうが熱心だった作品
海外の順位より、当ブログでの順位が大きく上だった作品です。
| 作品 | 海外の順位 | 当ブログの順位 | 閲覧指数 |
|---|---|---|---|
| 令和のダラさん | 27位 | 6位 | 152 |
| 領民0人スタートの辺境領主様 | 31位 | 14位 | 90 |
| ヤニねこ | 14位 | 1位 | 309 |
| ヘルモード | 30位 | 17位 | 79 |
| 天幕のジャードゥーガル | 13位 | 2位 | 229 |
| これ描いて死ね | 22位 | 11位 | 96 |
| 幼女戦記 | 10位 | 3位 | 201 |
『ヤニねこ』は、海外ではupvote600前後の中堅でした。それが当ブログでは、記事1本あたりの閲覧数で夏アニメの1位です。平均の3倍を超えています。
『令和のダラさん』はさらに差が大きく、海外では200台のupvoteにとどまった一方、当ブログでは6位でした。
これらの作品に共通しているのは、海外の人がどう受け取るのか、日本の読者から見て予想がつきにくいという点ではないかと考えています。
『ヤニねこ』は、煙草に依存して生活が破綻した猫娘を笑いにする作品です。喫煙に対する目線は国によってかなり違います。『令和のダラさん』は、日本の土地の怪異と言い伝えが題材です。『天幕のジャードゥーガル』はモンゴル帝国とイスラーム世界、『幼女戦記』は第一次世界大戦期のヨーロッパを思わせる戦争が舞台です。
いずれも、海外の視聴者のほうが詳しい部分や、文化的な前提が日本と違う部分を持っています。実際、『ヤニねこ』の第1話では海外から「史上最高の禁煙CM」という第一声が出ました。『幼女戦記』のスレッドでは、史実の戦争になぞらえる書き込みがよく見られます。
「海外ではどう見られたか」を知りたくなる作品ほど、日本の読者は記事を開く。そういう読まれ方をしているのかもしれません。
海外のほうが熱心だった作品
反対に、海外では上位だったのに、当ブログではあまり読まれなかった作品です。
| 作品 | 海外の順位 | 当ブログの順位 | 閲覧指数 |
|---|---|---|---|
| BLEACH 千年血戦篇-禍進譚- | 3位 | 28位 | 48 |
| 正反対な君と僕 | 4位 | 23位 | 65 |
| 君のことが大大大大大好きな100人の彼女 | 8位 | 26位 | 59 |
| きみが死ぬまで恋をしたい | 17位 | 33位 | 38 |
| クレバテス | 7位 | 21位 | 70 |
| 魔入りました!入間くん | 21位 | 34位 | 37 |
| Re:ゼロから始める異世界生活 | 2位 | 12位 | 95 |
最も差が大きかったのは『BLEACH』です。海外ではupvoteの中央値が約1,160で、夏アニメで3番目の盛り上がりでした。一方、当ブログでの閲覧は平均の半分ほどでした。
『BLEACH』は長く続いてきた作品で、日本のファンは原作もアニメ旧シリーズも見てきています。海外の反応を読まなくても、作品について語る場や情報源が十分にあるのかもしれません。また、千年血戦篇は原作の結末がすでに知られているため、「この先どうなるか」に対する海外の予想を読む楽しみが、他の作品より小さいとも考えられます。
『Re:ゼロ』は海外2位、当ブログ12位です。閲覧指数は95でほぼ平均並みなので、読まれていないわけではありません。ただ、海外での盛り上がりの大きさほどには読まれていない、という位置です。
ジャンルで分けると、傾向がはっきりする
34作品をジャンルごとに見ると、ずれ方に偏りがあります。
ラブコメ・恋愛ものは、海外寄りでした。『正反対な君と僕』『100カノ』『きみが死ぬまで恋をしたい』は、いずれも当ブログでの順位が海外より15位以上下です。『透明な夜に駆ける君と、目に見えない恋をした。』『花折さんは転生しても喧嘩がしたい』も、わずかに海外寄りでした。例外は『転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思っていた幼馴染だった件』くらいです。
内政・ゲーム系の「なろう系」ファンタジーは、日本の読者寄りでした。『領民0人スタートの辺境領主様』『ヘルモード』『乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です』『片田舎のおっさん、剣聖になる』『ブチ切れ令嬢は報復を誓いました。』は、そろって当ブログでの順位のほうが上です。
この差には、二つの理由が考えられます。
一つは、海外のr/animeでは、いわゆる「なろう系」の作品が低く見られやすいことです。当ブログの記事でも、「よくある異世界もの」「よくあるなろう系」という書き込みが出発点になっている回は珍しくありません。そのためupvoteが伸びにくく、海外の順位は下がります。ただ、スレッドを開けば「だからこそ気楽に見られる」「静かに楽しみにしている」という書き込みも並んでいます。『領民0人』の最終回に「あと48話観たい」という声が出ていたのはその一例です。
もう一つは、当ブログの読者層の偏りです。当ブログの読者の大半は、アンテナサイトを経由して来ています。アンテナサイトで好まれるジャンルが、そのまま今回の結果に表れている可能性があります。恋愛ものの記事が読まれにくかったのは、作品の力とは別の理由かもしれません。
どちらか一方だけで説明できるものではなく、両方が重なっていると見るのが自然だと思います。
読まれた深さ:最後まで読まれた作品
閲覧数とは別に、1回の閲覧あたりの滞在時間も見ておきます。これは、開いた記事をどれだけ読み込んだかの目安になります。
長かったのは『転生したらスライムだった件』『無職転生』『Re:ゼロ』『幼女戦記』『天幕のジャードゥーガル』『ふつつかな悪女ではございますが』でした。いずれも、1回の閲覧あたり80秒を超えています。
共通するのは、話が長く続いていて、前の回からの流れを知っている読者が多い作品だという点です。こうした作品では、海外の視聴者の考察や伏線の読み解きを、一つずつ確かめるように読まれていると考えられます。
短かったのは、1話完結に近いコメディや、今期から始まった作品でした。記事を開いて、見どころだけ確かめて閉じる読まれ方です。どちらが良い悪いではなく、作品によって読まれ方の型が違う、ということだと思います。
秋アニメで確かめたいこと
今回の比較は夏アニメ1期分だけで、upvoteの記録も後半の話数に偏っています。見えてきた傾向が本物かどうかは、秋アニメで続けて確かめる必要があります。
とくに確かめたいのは次の2点です。
- 文化的な前提が日本と違う作品ほど、日本の読者に読まれるのか
- ラブコメは、秋も海外寄りの結果になるのか
秋はupvoteを第1話から記録できるので、今回より比べやすいデータになります。
まとめ
海外で盛り上がった作品と、日本の読者が読みたい作品は、かなりずれていました。
海外寄りだったのは『BLEACH』とラブコメです。日本の読者寄りだったのは『ヤニねこ』『令和のダラさん』『天幕のジャードゥーガル』と、内政・ゲーム系の「なろう系」ファンタジーでした。
upvoteの大きさだけでは、日本の読者の関心は測れないようです。
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